2012/01/16

ガレット・デ・ロワが好きです。

ご存知でしょうが、フランスでは1月6日とは、公現祭(fête de l'épiphanie)です。


古代ローマ時代は農業神のお祭りの日だったらしいですが、クリスト教が浸透してから、東方の三博士が幼児イエスにプレゼントを持って来訪し、世界にその誕生を知らせた日、公現祭となりました。

信仰とは無関係に、広くガレット・デ・ロワ、つまり「王様のお菓子」を食べる習慣があります。ガレットとは、円くて薄いお菓子を言う言葉ですが、この祭りのお菓子の基本的な構成は、パイ生地にフランジパーヌ・クリーム(=アーモンド・クリームにカスタード・クリームを足したクリーム)です。非常に素朴なお菓子なのですが、作り手によって驚くほどの差がでます。

クリームのしっとり感またはその風味にこだわる人、パイ生地のぱりぱり感またはボリュームを何よりも求める人、十人十色ですが、私はガレットにはバランスが何より大事じゃないかと思います。

一ヶ月の間は、お菓子屋さんの外装がガレットで賑やかになります。


 コルマール市の『ミュロプト』店

コルマール市の『ギルグ』店


このお菓子の特徴とは、冠と一緒に売られていることのほか、中に陶器製のかわいいミニチュアー(「フェーヴ」)が入っていることです。当たった人がその日だけ王様になると言います。一日中「王様ゲーム」をひたすらやっているフランス人が思い浮かんだら(やはり思いつきましたね・・・)、違います。大抵の家庭では、当たったらなぜか冠をかぶって終わりじゃないかと思います。

このお菓子のもう一つの特徴とは、オーブンで少し温めてからいただきます。あまり温めると、クリームが熱くなり、胃にもたれる気がしますが、生地が温かくてパリッとする程度に温めます。クリームがまだ常温に近い状態です。私は、150度で10分程度焼きます。

今年もたくさん食べました。

第一号は自作のものでしたが、その後、いろいろ食べてみたくなりました。

『ギルグ』ではクラシックなものが中心。アーモンドかチョコのフランジパーヌのガレット。
(中に入っているフェーヴだけはぜんぜんクラシックではないですが、それは次の投稿までのお楽しみ・・・)



『ギルグ』のチョコレート風味のガレットガレット専用の紙袋。


『ミュロプト』は、今年も遊び心たっぷりのガレットを提供しています。

定番のもの(それも3種類 : アーモンド、チョコのパイ生地にチョコと木苺のクリーム、リンゴとシナモン)のほか、2月まで毎週一風変わったガレットを作ります。第一週目は、トリュッフの入ったガレットという、とても豪華なものを出しました。(値段もそれなりに豪華・・・)

第二週目はケシの実とカシスとリンゴのクリームのガレットです。(そういえば、『ミュロプト』のチョコにはカシスが入っているものには必ずケシの実がかかっています・・・)ケシの実の風味を出すのはやはり少し難しいですが、パイ生地の繊細さと風味、カシスの存在感を楽しみました。また食べたいと思いました。



美しくて繊細な『ミュロプト』のガレット(ケシの実・カシス・リンゴのガレット)



コルマール市の昔ながらのケーキ屋さん、『シュミット』もとても変わったガレット・デ・ロワを出しました。

それは「フランボワーズ・カネッル(シナモン)」風味のガレットですが、パイ生地の上にアルザスで愛用されるシュトロイッスル(streussel) がかかっています。フランボワーズはクリームの中に、シナモンはシュトロイッスルに入っています。


「フランボワーズ・カネッル」のガレット(『シュミット』)

実を言いますと、私にはとても甘~いガレットでしたが、アルザスの人なら平気で食べるでしょうね。『シュミット』では6枚目のガレットは無料になります・・・。一ヶ月の間に、皆さんそれぐらい食べているのでしょうか。



近くのスーパーのパン屋のものも、決して捨てたものではありません。

皮付きアーモンドを使用した、風味豊かでしっとりとしたクリームが入っていました。
そして、なんと言っても・・・お財布にも優しいガレットでした!


近くのスーパーの付属パン屋のガレット・デ・ロワ



『グロス』のガレットも買ってみました。アーモンドのほか、リンゴ、チョコのガレットを作っています。定番のアーモンド風味のガレットにしました。フランジパーヌ・クリームではなく、アーモンド・クリームのガレットでした。
こちらでは、ガレット用の紙袋でなく、クグロフを包む時と同じ包装を使っていました。



アーモンド・クリームのガレット(『グロス』)


こちらのガレットはパイ生地のボリュームと火の通り加減に感心しました。アーモンド・クリームはやはりフランジパーヌよりもねっとりとしています。パイ生地と対照的です。






 パイ生地のガレットに飽きたら、ブリオッシュ生地のガレットもあります。


(『ギルグ』)



「カレンダー占い」をやっている人もいれば、年始には「ガレット占い」をやっているフランス人の方が圧倒的に多いかと思います。

そういえば、今年はまだ当たっていません・・・。


どういうことでしょう!?



つづく








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