2012/11/30

ストラスブール・ヨーロピアン・フェアにて  和菓子・ジャパン・チーム出場




すっかりご無沙汰しております。更新がとても不定期になってしまい申し訳ございません。日常的な生活に妨げのない程度、またブログのデータ容量の許す限り・・・少しずつ更新を続けようと思っていますが、何卒よろしくお願いいたします。


報告がすっかり遅れてしまいましたが、9月に大きなイベントに携わることになりました。それは、例年行われるストラスブール市のヨーロピアン・フェアで和菓子関係のイベントをコーディネートすることでした。

ヨーロピアン・フェアというのは大きな商業フェアの一つであって、ヨーロッパの中心でありヨーロッパ議会が所在するストラスブールですから、隣接国が参加することがこのフェアの一つの特徴です。毎年ゲスト国を招くことになっていますが、今年はなんと80回目のこのフェアには初めての「日本」をゲスト国として招くことになりました。(どうやって日本が80年間も落とされたのか不思議でなりませんが・・・。)

そのおかげか、今年はなんと209 043人が来場しました!

最初から、日本会場に和菓子を紹介するブースの計画はあったわけではないのですが、フェアが始まる3ヶ月前にそのような話が急に進み、みんながバカンスへ行っている夏季の最中に、こそこそと(というよりもバッタバタ)東京製菓学校の梶山浩司先生、そして山本陽平さんの力を(たくさんたくさん)借りまして準備を進めて、実現させることができました。

(本当に)様々な展開がありました。ハラハラドキドキ(練りきりを無事に運べるのか・・・)が最後の最後までありましたが、フェアの開幕式になんと6人の和菓子の職人がフランス・ストラスブールに進出することになりました!

それも開幕式だけでなく、開幕から閉幕まで10日間も参加してくださいました。その内容も、日本会場の喫茶スペースとステージで和菓子の実技を行いながら、食関係専用会場である別館のグルメ会場で、アルザス地方の製菓協会のブースで実技を行うという強行軍のスケジュールでした。

この場を借りて厚く御礼を申し上げたいと思います。


2012年和菓子日本チームの皆さん

梶山浩司 (東京製菓学校 和菓子指導者および校長代行)
清水利仲 (両口屋菓匠 専務取締役、東京製菓学校講師、(株)たねや 顧問)
森山雄起 (千住「喜田家」統括部長)
明神宣之 (広島県呉市の「蜜屋本舗」製造部長)
小泉直哉 (足利市の「香雲堂本店」製造部長)
吉橋慶祐 (金沢市の「吉はし菓子所」社長)
山本陽平 (東京製菓学校常務理事)



2012年の和菓子・ジャパン・チーム(ヨーロピアン・フェアの会場前)

さて、フェアの会場ですが、この古き建物をみた限りではとても想像できない、35 000平方メートルもの広大な展示スペース、店舗ブース1000個まで広がることができるそうです。毎年、フェアの広告ポスターはゲスト国を舞台にするのですが、今年はなんと日本大手会社のロボットが主役のものになっていました。それもストラスブールのトラムに載せたり折り紙の鶴に載せたりしていろいろでした。(はい、「日本」という漢字が少しおかしいです。どうも外人に書かせたみたいですね・・・フランス人が日本語でお菓子のブログを書くのと同じでしょうね。)


町中にフェアの広告。


ストラスブール市を走る路面電車(トラム)



日本会場入り口


開幕の前日、初めて会場を拝見に行ったところ、喫茶スペースのイスもなく和菓子・ジャパン・チームにはいささかの不安がよぎりました。とは言え、他のブースもみんな同じようなドタバタな様子。


準備中の喫茶スペース


せっかく来たのだからと展示スペースの用意だけでもして帰ろうとしましたら、そこで清水利仲先生が思いがけないサプライズを次から次へと箱から取り出しはじめました。お蔭さまで素敵な展示スペースになりました。


展示スペース




工芸菓子を箱から大事に取り出す清水利仲先生。


もちろん、菊の花も岩もお菓子でできています。


秋を表現する12個の生菓子。和菓子の奥深さを自覚するばかりです。








東京製菓学校チーム。例年の秋の収穫と、堂々としたはさみ菊。
(その繊細なはさみ菊も梶山先生が時差のため真夜中に起きて作ったそうです・・・私はその時、しばらく信じられませんでしたが、やはりスケジュール的に他にできる道はなかったのです。)


そしていよいよ本番になると、すごい人の波が会場に入ってきました。

ジャパン・チームの「花」とも言える三人が実演を開始。





手前から小泉直哉さん、明神宣之さん、吉橋慶祐さん。


職人・先生の手の動きにまるで釘付けで、自分の手で真似しようとしている子供たち。はい、はるばる日本からお越しいただいた甲斐はありましたね・・・。





葛製の柔らか「小豆富」(おとふ)を作る清水利中先生と森山雄起さん。



そして日本会場でのステージで実技を繰り返しました。


梶山先生とはやはり三人の「花」




森山師匠と一緒のパターンもなかなか貫禄がでました。


講習会を何回繰り返しても和菓子を熱く語る東京製菓学校の梶山先生。


そして毎日「三時のおやつ」になったら、自然とグルメ会場へ移動。

そこも日本をイメージした飾り付け。標識も一応、日本語で、微妙なところもありましたが、何の事やら一般の人にはわかりませんからね。


グルメ会場の洋菓子ブース。左裏には「味の劇場」と名づけられたステージ。


ちらっと、洋菓子(ストラスブールの看板パティシエがそれぞれお菓子を提供する)ショーケース。


サンドイッチのラップ(wrap)の流行に引き続き、ケーキ版のものも進出。とはいえ、それは包装屋さんからの開拓だそうで、お菓子屋には賛否両論あるみたいです。スマイル入りのビスケットは、フランス人だれでも一目で分かる製菓産業の有名な「BN」の再現。フランス人の子供たちの定番のおやつです。有名なパティシエのクリストフ・ミシャラックが打ち出した動きかと思いますが、これらはここ数年のフランスお菓子市場の動向とは言えますね。




面白げな形のお菓子たち。(LITZLER VOGEL、ストラスブール)


グルメ会場では、製菓職人協会のブースで実技を毎日行いました。




そこにも人がいっぱいでした。





ジャパン・チームの森山雄起さん、明神宣之さん、吉橋慶祐さん。製菓職人協会ブースにて



そしてグルメ会場のステージで。料理人・料理ジャーナリストのダニエル・ツェナーさんに司会していただき、来場客の目はまた違い、反響はとてもよかったです。






グルメ会場ステージにて。



そんなわけで、お菓子をたくさん作っていただきました。その中でもやはり、梶山先生をはじめジャパン・チームの皆さんは、はさみ菊を何回作りましたのでしょうか。












そしてとりどりの練りきり。













「清山」と清水先生と梶山先生の協力で生まれた柔らかな黒糖とプレインの水饅頭。
葛製ですが、冷蔵しても柔らかく硬くならない秘訣が潜んでいるお菓子。


次はヨーロピアン・フェアのクライマックスとでも言えるイベントについて報告したいと思います。

お楽しみに!