自宅から1時間も離れていないのに、まったく未知の国へ行くような気分でした。
地図を 目から離せなくてかなり危ない運転でしたが、その合間に見えた景色はとても気持ちのいいもので、言ってみればとてもアルザスらしい田舎景色でした。
11 月中旬からよくみかける景色ですが、砂糖に使うビートの収穫時期ごろで道端に山盛りに積まれていました。あまり知られていないかもしれませんが、アルザス は実は、ERSTEINという大きな砂糖精製所があって有名です。砂糖の名前をそのまま同じにしていますが、もともとERSTEINは工場が所在する村の 名前です。
そしてたどりつきました、シルバンさんが住んでいる小さな村。
そしてようやく、シルバンさんのご自宅につきました。
アルザスの伝統的な木組みの下の石壁に目がとまりました。なかなかいい感じでしょう。実はその村には何軒か同じ構造のものがあって、地域性ではないかと思いますが、とにかく勉強になりました。
前庭は工事中でしたが、今頃できているのではないでしょうか・・・。
出迎えにきてくださったシルバンさん。
そんな時にお邪魔するのも本当に恐縮でしたが、ちょうどクリスマスを目前にして大忙しでした。
小さな、書斎みたいな設備のマジパン細工工房で少し驚きました。
以前の投稿にも書きましたが、 彼のようにマジパン細工のみに専念しているパティシエはフランス の中では6人しかいません。それで、 フランスの複雑な職種カテゴリーにはマジパン細工がどっちにもつ かず、 彼はなんと製菓部門に入らずフリー職業として活動しています。
原料を一つだけのマジパンということです。 焼成も生ものも扱っていないおかげで衛生的な拘束( というか規制)はありません。 また腐敗の心配はないマジパンですから、賞味期限の問題もなく、 とてもとてもうらやましいです(ため息)。
クリスマスのヒーローはもちろん、サンタですね。
モーターバイクに乗っているサンタができあがるまで・・・ |
ちなみに、帽子はこうやって作っています。
大きい人物だと分かりやすいです。
クリスマスは赤と緑をたくさん使う時期ですが、シルバンさんは色ごとなど綺麗に透明なタッパーで整理しています。それもずらりと!
サンタと言っても、人間ばかりでなく熊さんなど動物にも応用がきき、自由自在です。
サンタのほかには、スノーマンも登場します。
そのほか天使やなぜかアルザスの民族衣装のものやミッキーマウスのものも作ります。
そして、ブタさん!
実はドイツの影響だそうですが、年始にブタのマジパンはよくみかけます。シルバンさんはお得意のブタさんもこの時期はたくさん作っています。
ちょうど伺ったときには材料のマジパンのデリバリーがありました。シルバンさんはもちろん高質のLUBECK製のマジパンを使っています。その日は650キロの配達でしたが、一年ではほぼ3トンも使っているそうです!
ち なみに、こうやってマジパン細工だけで生計立ている職人はフランスでは6人しかいません。シルバンさんは自分のお店を持たず、マジパン細工を作る暇もない ストラスブール市とその近辺のグラン・パティシエに配達しています。誕生日の特注(ケーキに載せるマジパン)も受けていますので、いろいろと忙しいみたい です。
配達内容をチェックしているシルバンさん。もちろん配達してくれた者にはマジパンの土産を忘れず持たす本当に寛大な方です。
筆者もお土産いただき、写真を取る暇もなく子供たちに解体が始まりました・・・可愛かったブタさんだったのに・・・
最後になりましたが、貴重な画像をご紹介したいと思います!
実は学ぶ機会が非常に珍しい(現場しかないかと思いますが)、マジパン細工の基本とでも言える人物の体、いわゆる「四肢の体」のプロセスです。
て・足・体一つ一つ作ってくっつけるよりも出来上がりは全然綺麗です。それさえできればいろんなポーズのものができる。
少し分かりにくいかもしれませんが(一生懸命取りましたよ!)、最初は両足を作り、されらを同じ方向にそろえてから少し長めに作っておく第一本目の手を、そして難しい第二本目の手を作っていきます。
結構はまってしまいますが、たくさん練習して下さい!
早いもので2013年残り少なくなりましたが、どうぞよいお年をお迎えください!