2012/12/14

ヨーロピアン・フェア わらび餅講習会とマジパン細工対練りきりの対談




フェア期間中の注目をとくに浴びたイベントが二つありました。

二つともグルメ会場で行われました。

一つは清水先生によるわらび餅の実技です。裏でこそこそと作ってみんなに味見していただく予定でしたが、グルメ会場の司会の暖かい歓迎を受けて、なんと例の立派なステージでご披露することになりました。

清水先生がきな粉を贅沢にまぶすと、会場中にたまらないきな粉の香りが広がり・・・「ピーナツ?」と司会のツェッナーさんが訊きました。言われてみれば、きな粉の香りはナッツ類の香ばしさに近いかもしれませんね。





丁寧に漉し餡をわらび餅で包む清水先生


モチという食感自体はフランス料理、ましてフランス菓子にないものですので、観客だけでなくグルメ会場に大勢集まっていた料理人たちも興味深げにこの実技を見ていました。

わらび餅の絹のような食感、そしてやさしい喉ごしは、とてもフランス人が驚いたみたいですが、いざ試食タイムになったら、大混雑で困りました。料理人の司会ツェッナーさんも自分の知り合いなどに食べさせたいと言って、10個ぐらい分けることになりました。フランス料理人、パティシエに和菓子から新しい世界が広がっていけばいいですね。和菓子にはその可能性が十分あると思います。


そして9月10日には、マジパン細工の職人との共催イベントを行いました。

せっかくアルザス製菓職人協会との繫がりができましたので、和菓子講習会だけでなく共催イベントにも挑戦してみたいと思いました。そこで、ずっと以前から心の中にあったイベントを提案してみました。練りきりの実技をするたびに、フランス人はパティシエであれ普通の人であれ「これってマジパンですか?」と尋ねるものです。

そこで、とことん似ているようで似ていない日本の練りきりとフランスのマジパン細工の技法を比較してみたら、それを軸に日本のお菓子とフランスのお菓子を対話させてみたら、きっと面白いのではないでしょうか、と慌しいフェアの準備期間中に問いかけてみました。

フランスに6人しかいない、マジパン細工で生計を立てている職人の一人である、シルパン・パルターさんはすぐ興味を示してくださいました。そして、アルザス製菓職人協会側も同じ勢いで公報などの準備に取り組んでくれました。


小さな箱にシルバンさんの作品がブースに並んでいました。


もちろん、日本をテーマとしたものもありました。


そのマジパン細工の職人、シルバンさんはその繊細な仕事柄からはとても思い浮かばないような大きな体の持ち主でございます・・・やっぱりよく言われることだそうです!

シルバン・バルターさん。梶山先生と清水先生と一緒に。


日本とフランスの職人がそれぞれ交代に扱う素材、使っている道具を紹介して、その後基本技術などの実技に入って行きました。


シルパンさんと梶山先生

司会のツェッナーさんの目の前で、日本の伝統的な鋏を紹介してから、はさみ菊のコツを教える梶山先生。

練りきりの基本技術でもあると言える「抱餡」に対して、マジパン細工の基本とでも言える「四肢の体」の実技を行っていただくことになりました。これができるパティシエは実はあまりいません。


マジパンで作る基本の「四肢の体」。後は頭をつけるだけです。



そこで、こんな技を初めて自分の目で見られた梶山先生もさっそく挑戦してみたくなりました。もちろん、マジパンではなくお馴染みの練りきりで「四肢の体」に挑戦。そこで、シルバンさんも先生の近くに寄り、とても楽しい交流が始まりました。






三肢目を出すことはなかなか難しいです。



その後、シルバンさんもはさみ菊や栗に挑戦し、一風変わった作品が出現しました。


マジパンでできた・・・はさみ菊



マジパンと練りきりの栗・・・



講習会を終えたマジパン細工の達人と練りきりの達人



アルザス製菓協会の皆さんと一緒に。10日間すっかり大変お世話になりました。

和菓子チームとアルザス製菓協会のブースの皆さん、シルパンさん。